ジャズの名盤レコード

ジャズ黄金期1950年代~60年代の名盤が近年続々とリイシューされていますのでこちらのページでご紹介していきたいと思います。どれも名盤中の名盤ばかりですので入門編としても最適。これからジャズを聴くなら、まずはこちらのアルバムから始めてみて下さい。

※用語について:紹介文の中によく出てくる「ハードバップ」とはモダンジャズの一種で、1950年代から60年代に流行ったジャズの演奏スタイルの事です。ジャズ黄金期の最もジャズらしいジャズと言えます。このページの一番下でもう少し詳しくご説明していますのでご覧ください。

帝王マイルス・デイビス、ハードバップ・ジャズの名盤

マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト
録音 1956年
形式 LPレコード

マイルス一流ミュートトランペットを堪能できる50年代ジャズを代表する1枚。大手コロンビアレコードへの移籍第一弾作品という事で、ジョン・コルトレーン (ts)、レッド・ガーランド (p)、ポール・チェンバース (b)といったスタープレーヤーが揃い、またそのサイドメンの演奏も素晴らしい。ROUND Midnight 、Bye bye blackbirdなど有名曲の他、オリジナルのレコードには含まれなかったA4.スィート・スゥ・ジャスト・ユーもボーナストラックとして収録。

モダンジャズの名曲をLPレコード2枚に収録

テイク・ファイブ・グレート・ジャズ・インストゥルメンタルズ
形式 LPレコード 2枚組

モダンジャズの有名な録音をLPレコード2枚に集めたコンピレーションです。音楽史上最も有名な5拍子の曲デイヴ・ブルーベックのTake Five、マイルス・デイビスのミュートプレイが光るMy Funny Valentine・・など日本人の好みにもぴったりの人気曲を多数収録。とても耳障りの良い選曲で最初から最後まで心地よくお楽しみいただけます。モダンジャズ入門盤としてもおすすめ。

日本人が一番好きなピアノジャズ・アルバム

ビル・エヴァンス / ワルツ・フォー・デビイ
録音 1961年
形式 LPレコード

1961年ニューヨークの名門ジャズクラブ「ヴィレッジヴァンガード」でライブ録音されたピアノトリオ・ジャズの歴史的名盤です。 1曲目マイ・フーリッシュ・ハート、アルバムタイトル曲の2曲目ワルツ・フォー・デビーなどの繊細でリリカルなピアノタッチはビル・エバンスの真骨頂。バラードの名曲マイロマンスもこの演奏で有名になりました。ジャズ史上最高のピアニストとも言われるビル・エヴァンスの魅力をたっぷり堪能できる1枚。

ワルツ・フォー・デビーの姉妹アルバム

ビル・エヴァンス / サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード
録音 1961年
形式 LPレコード

1961年6月25日、ニューヨークのジャズクラブ、ヴィレッジヴァンガードにて。上記で紹介のアルバム「ワルツ・フォー・デビー」と同じ日に収録されたもう一枚のアルバムです。 同じメンバーで演奏されていますので、こちらもワルツフォーデビー同様素晴らしい内容。 ビル・エヴァンスらしい繊細で美しいピアノトリオ演奏を堪能いただけます。 周囲の観客のかすかな騒めきやコインを落とした音までも入っており、その場の空気や雰囲気までも切り取ったような作品となっています。

静かなるケニー、しっとり系モダンジャズ

ケニー・ドーハム / クワイエット・ケニー
録音 1959年
形式 LPレコード

50年代を中心に活躍したトランペッター、ケニー・ドーハムの59年作。静かで落ち着いたナンバーが並び、日本盤では「静かなるケニー」とタイトルが付けられています。1曲目は本作で唯一といえるアップテンポなナンバー、ピアノソロも素晴らしい名演、2曲目My Idealはほのぼのとしたトランペット演奏が心地よいケニー・ドーハムを代表する1曲、B面に収録のOld Folkなども美しいメロディと優しいトランペットがマッチした名曲。リラックスして楽しめる、しっとり系モダンジャズの名盤です。

人種差別と薬物依存、壮絶な人生を反映した歌声

ビリー・ホリデイ / レディ・シングス・ザ・ブルース
録音 1954年ロサンゼルス、1956年ニューヨーク
形式 LPレコード

その壮絶な人生は映画にもなった伝説的ジャズボーカリスト、ビリー・ホリデイの1956年作。自叙伝の出版に合わせ録音され、トラベリン・ライト、レイディ・シングス・ザ・ブルース、ゴッド・ブレス・ザ・チルド、そしてストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)など彼女を代表するナンバーが収録されています。これがビリー・ホリデイ最後の名盤、この作品から3年後に亡くなっています。

マイルス・デイビス x ブルーノート名盤

キャノンボール・アダレイ / サムシン・エルス
録音 1958年
形式 LPレコード

当時マイルス・デイビスはコロンビアレコードと契約をしていたためBLUE NOTEから作品をリリースできなかったのですが、キャノンボール・アダレイ名義とすることでこの名盤が誕生しました。実際のディレクターはマイルス・デイビス、 サイドメンにキャノンボール・アダレイ(s)、 アート・ブレイキー(dr)、ハンク・ジョーンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)らが参加。 シャンソンの 名曲「枯葉」がジャズの定番になったのもこの作品から。 

エリントンとコルトレーン、ジャズ新旧スター共演

デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン
録音 1962年
形式 LPレコード

コンポーザー、 バンドリーダー、ピアニストとしても活躍したジャズ初期の大物デューク・エリントンと新世代のカリスマ、ジョンコルトレーンが共演した唯一のアルバム。 イン・ア・センチメンタル・ムードはジャズ史に残る名バラード、 その他エリントンはこの作品のために多くの楽曲を書き下ろしました。

BLUE NOTEレーベル~ギタージャズの名盤

グラント・グリーン / アイドル・モーメンツ
録音 1963年
形式 LPレコード

ギター、サックス、 ビブラフォンが絡み合うミステリアスなスロージャズから、疾走感のあるアップテンポなジャズまで、渋く独特の雰囲気で聴かせます。数あるグラント・グリーン作品の中で最高作にあげる人も多いギタージャズの名盤。ギター、サックス、 ビブラフォン、ピアノ・・各プレイヤーのソロプレイも聴き応えあります。

コルトレーンがブルーノートに残した唯一のリーダー作

ジョン・コルトレーン / ブルートレイン
録音 1957年
形式 LPレコード

コルトレーン(サックス)、リー・モーガン(トランペット)、カーティス・フラー(トロンボーン)3種類のホーンがサウンドを特徴づけるスリリングで爽快なハードバップ名盤。ブルートレイン、モーメンツ・ノーティス、そしてバラードの名曲アイム・オールド・ファッションドなど有名曲を多数収録。アルバム制作に一切妥協しなかったコルトレーンらしい名曲名演揃いの一枚。

モダンジャズの巨人、サックス奏者ソニー・ロリンズ

ソニー・ロリンズ / サクソフォン・コロセス
録音 1956年
形式 LPレコード

短命のジャズミュージシャンが多い中ソニー・ロリンズは現在90歳。 今までにたくさんの作品をリリースしていますが最も有名なのがこのアルバムです。多くのミュージシャンがカバーしたソニーロリンズ作曲のSt.Thomas、今もドラマなどで使われるYou don t know what Love isの名演など、ジャズ好きにはおなじみの楽曲を収録。 リリース当初から評論家やジャズファンから絶賛されたハードバップジャズ名盤です。

ジャズの大物歌手2人の共演 レコード+CD

エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング
録音 1956年
形式 LPレコード +CD

美声の女性ボーカル、エラ・フィッツジェラルドとダミ声のルイ・アームストロング、 ジャズの時代を代表する人気ボーカリスト二人が共演した人気シリーズの第一弾。 2人のボーカルはもちろん、ルイ・アームストロングのトランペットやオスカー・ピーターソンのピアノ演奏も素晴らしい。 Can’t We Be Friends、Cheek To Cheekなどのヒット曲が多数収録されています。

ジャズバラードの定番でコルトレーン最大のヒット作 レコード+CD

ジョン・コルトレーン / バラード
録音1961年、1962年
形式 LPレコード +CD

激しい演奏を信条とするコルトレーンはこのようなバラード作品には興味なかったかもしれませんが、 時間をかけて丁寧にレコーディングされた本作は結局コルトレーンを代表する作品となりました。コルトレーンのサックスはもちろんマッコイ・タイナーのピアノを絶賛する人も多いです。 Say It (Over And Over Again)、Too Young To Go Steady、I Wish I Knewなどはどれもジャズ史を代表する名演。

ファンキージャズの名盤 レコード+CD

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン
録音 1958年
形式 LPレコード +CD

出だしのフレーズはきっと誰もが聞き覚えのある!ヒット曲モーニンではじまるモダンジャズの名盤。ドラム奏者アート・ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズの58年作。世界中でFUNKY JAZZブームを巻き起こし、ハードバップジャズの最高作として挙げる人も多い人気アルバム。

日本人が好きなモダンジャズを選ぶと必ず上位に

ソニー・クラーク / クールス・トラッティン
録音 1958年
形式 LPレコード

オシャレなジャケットでも有名な人気盤、ブルーノートレーベルのピアニスト、ソニー・クラークの代表作です。アート・ファーマー(Tp)+ジャッキー・マクリーン(A.sax)というスタープレイヤー2人に、ポール・チェンバース(b)とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)はマイルス・デイビスのクインテットから、最強メンバーで録音されたハードバップジャズ、ファンキージャズの名盤。

ラテンの名盤 マンボキング、ティト・プエンテ

ティト・プエンテ / エル・レイ・ブラーボ
録音 1962年
形式 LPレコード

ティンバレスやビブラフォンの奏者でマンボキングとしても知られたティトプエンテの62年作。まだサルサが誕生する前、マンボ全盛期の作品です。マンボ~ラテンジャズ、チャチャチャ、デスカルガなどが収録され、 中でもOYE COMO VAはティト・プエンテ最大のヒット曲。 TOKYO DE NOCHEは東京がテーマとなったマンボナンバー。

「ニューヨークのため息」ヘレン・メリルの大ヒット・ジャズボーカル作

ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
録音 1954年
形式 LPレコード

「ニューヨークのため息」と称されるハスキー・ボイス、ヘレン・メリルの最高傑作。若き天才トランペッター、クリフォード・ブラウンが全面的に参加しボーカルとトランペットの両方で聞かせるアルバムとなっています。 また、アレンジはクイーシー・ ジョーンズ。マイケルジャクソンの大ヒット作「スリラー」のプロデューサーとして有名ですが、こちらは若い頃のクイーシー・ジョーンズが手がけた作品です。

モードジャズという新ジャンルを確立させた1枚

マイルス・デイビス / カインド・オブ・ブルー
録音 1959年
形式 LPレコード

それまでのハードバップではコード進行に基づいて演奏されていたのに対し、モードジャズでは
コードではなくモードに基づく演奏に代わり、その分コードの和音に縛られない自由な奏法が可能となりました。この作品以降、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンはモードジャズを中心に演奏し、ハードバップの時代からモードジャズの時代へと移っていきます。カインド・オブ・ブルーはマイルス・ディヴィスの代表作の1つあり、またジャズ史上最高の作品に挙げる人も多い名盤。ジョン・コルトレーン(s)、キャノンボール・アダレイ(as)、ビル・エヴァンス(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(d)らが参加。ジャズを聴くなら外せない1枚です。

ビバップ、 ハードバップとは

こちらのページでご紹介しているレコードのほとんどはハードバップやそれと同時代のジャズです。その他にもスウィングジャズやビバップなどの種類がありますので簡単にご説明します。

  • スウィングジャズは1930年代から40年代に流行したジャズのジャンルの一つ。 ビッグバンドにより、主にダンス音楽として演奏されました。
  • ビバップは40年代に誕生したジャズの演奏スタイル。決まったメロディーの途中に即興演奏が加わり、 プレイヤーはそのアドリブ演奏のテクニックを競い合いました。ジャズはスイングのような大衆娯楽音楽から、難解で芸術性の高い音楽へと移行していきます。
  • ハードバップとは50年代に誕生したジャズの演奏スタイル。それまで主流だったビバップがテクニカルなアドリブ演奏を競い合うものだったのに対し、ハードバップは聴かせる音楽としてより進化しものです。芸術性に大衆性も加わったこの時代のジャズは人気のピークを迎え、また沢山のアルバムが制作、リリースされました。ジャズってどんな音楽?と聞かれて多くの人がイメージするのがこのハードバップです。
  • モードジャズはハードバップ以降に登場したジャズの演奏スタイル。コード進行にとらわれないより自由な演奏を特徴とします。

モダンジャズとは、ビバップ~ハードバップ、モードジャズ、さらにはクールジャズ、 ファンキージャズなどをまとめた総称です。